高崎市就労継続支援A型事業所ねおはるにて発見!
うつ症状から抜け出す方法

はじめに

 この記事では、長年うつ症状に悩まされてきた私が、効果を実感した健康法を紹介します。具体的には、不足している栄養素を至適量摂取することで、病気の症状改善や健康維持を目的とした健康法です。精神科医の藤川徳美氏が上梓した「医師や薬に頼らない! すべての不調は自分で治せる」(方丈社)の内容をベースに実体験を交えながら報告させていただきます。

自己紹介

自己紹介

 私は双極性感情障害を持つ30代後半の男性です。就労継続支援A型事業所「ねおはる」に通所しています。20代半ばの頃、社会不安障害と共にうつ病を発症。以降、寛解と再発を繰り返して今に至ります。途中、慢性疾患である橋本病(甲状腺機能低下症)を患ったり、過敏性腸症候群と診断されたりもしました。うつ状態との付き合いはかれこれ10年以上に及びます。

 医者から処方される薬だけではうつ状態に抗うことが出来ず、長期間寝たきりになってしまう状態を何度となく繰り返してきました。通院先の病院を変えたり、新旧含めて様々な薬を試したりしました。さらには副腎疲労(アドレナル・ファティーグ)に関する書籍に書かれた方法を実践したり、高照度光療法を試したり、食事に気を使ったり、運動を取り入れてみたりと出来ることはしてきたつもりです。けれど、効果はいずれも限定的であり、期待した結果は得られませんでした。

一冊の本との出会い

 「このまま一生、沈んだらなかなか浮き上がれない”うつ”という大きな波に、人生を左右されるのだろうか」となかば諦めかけていた頃、職場の上司から「あなたの体調不良の原因は、質的栄養失調かもしれない」という言葉と共に渡された一冊の本。それが冒頭の本でした。

 あらゆる病気の根本原因は「質的栄養失調」つまり「糖質過多+タンパク質不足+脂肪酸不足+ビタミン不足+ミネラル不足」だと主張し、その根拠と解決方法を提案する内容となっています。今まで試してきたことが効果不十分であったため、読み始めは期待2割程度でした。しかし、読了後には「これは試す価値がありそうだ」と確信に変わりました。「論より証拠」ということわざがありますが、著者の治療実績やレビューに書かれた「治った」「改善した」「希望が見えた」というコメントの数々を信じてみようと思ったのです。

「すべての不調は自分で治せる」の本表紙

具体的な実践内容

 第一段階は、タンパク質+糖質制限+鉄分。第二段階は、ビタミンB+C+E。第三段階は、その他ビタミンとミネラルの追加といった順番で進めていくとよいでしょう。それでは、具体的な実践内容について説明します。

タンパク質

タンパク質

 まずは十分な量のタンパク質を摂ることが何より大事です。十分な量とは、一日当たり体重×1gのタンパク質が相当します。これだけの量を食事だけで摂るのは大変なので、ホエイプロテインを飲みます。商品によってタンパク質の含有量が異なりますが、私は含有率70%程度のプロテインを飲んでいます。

 1日当たりプロテイン20g×2回を規定量とし、足りない分は食事(肉、魚、卵)で補いましょう。但し、ファスティングやダイエット、菜食主義などで重度のタンパク質不足の方は、規定量を飲むことが出来ないケースがあります。その場合は、5g×2回から開始して、徐々に増やしましょう。目標はBUN(尿素窒素)20。

糖質制限

糖質制限

 同時に糖質制限を少しずつ開始します。炭酸飲料などの糖分の多い飲み物、チョコレートやアイスなどの甘い食べ物、白米や小麦粉(うどん、ラーメン、パンなど)なども徐々に減らしましょう。急な糖質制限は体調不良を引き起こすので、”徐々に減らすこと”がポイントです。

 最初は誘惑に負けて糖分を摂ってしまうかもしれませんが、タンパク質が体内に満ちてくると甘いものが欲しくなくなります。それまでの辛抱ですので、諦めずにこつこつとタンパク質を蓄えましょう。

 鉄が不足気味の方は、鉄分も摂り始めましょう。その際、日本でよく売られているヘム鉄ではなく、より効率的に体内に吸収されるキレート鉄をオススメします。AmazonやiHerbなどの通販サイトで購入できます。鉄不足かどうかは血液検査でフェリチン(鉄分を貯蔵するタンパク質の量)を測定することでわかります。女性は50未満、男性は100未満が鉄不足に相当します。女性は100以上、男性は150以上を目指しましょう。フェリチンという項目自体、一般的な血液検査では測定してくれない場合があるので、ピンポイントで指定する必要があります。

ビタミン

ビタミン

 つづいて、ビタミン剤を追加します。さまざまな生命活動を支えるエネルギーのことをアデノシン三リン酸(略称:ATP)と呼びます。これは生きるための「エネルギー通貨」であり、十分ならば健康(幸せ)に過ごせますが、不足すると病気(不幸)になります。十分な量のATPを作るには、大量のビタミンが必要です。ただし、人によって必要な量が異なります。特に水溶性ビタミンであるビタミンB、Cは個人差が大きいです。お腹が緩くなる少し手間の量がその人にとって必要な量の目安となります。

 効率よくATPを生成するには、ビタミンB、C、Eが必要です。イメージとしては、ビタミンBとCはATP生成の燃料となり、ビタミンEはBとCの燃料としての質を高める働きがあります。ビタミンBとCは一日に複数回に分けて摂った方が、まとめて摂るよりも吸収率が高いです。なお、ビタミンEと鉄分は相性が悪いので、8時間の間隔を空けるようにしましょう。

 精神疾患を抱える場合、ナイアシンを加えることで改善効果が期待できます。ナイアシンにはナイアシンフラッシュという一時的な副作用(好転反応)で、顔がほてる、汗をかく、赤くなる、痺れる、じんましんなどの症状が出る場合があります。大抵一時間ほどで治まりますが、症状が辛かったり、気になったりする場合はナイアシンアミドから始めるとよいでしょう。

 私の場合、一日3,000mgのナイアシンアミドを3週間ほど継続しました。その後、500mgだけナイアシンに変えてみたら、服用後30分後に顔や腕が赤くなり痒くなりました。2日目以降は耐性がつき、徐々に症状が和らいだ印象です。1週間から2週間かけて500mgずつナイアシンアミドからナイアシンへの差し替えを行うつもりです。

その他のビタミンやミネラル

 次の段階では、自身の体調を振り返り、足りないと思われる栄養素を推察してサプリメントを追加します。まだ実践できていませんが、「躁うつ病(双極性障害)=微量ミネラル不足に対して脆弱な体質」という仮説があるので、亜鉛とマグネシウムを加えてみる予定です。

一日当たりの摂取量

一日当たりの摂取量

 私が実際に摂取している一日当たりの量は以下の通りです。

  • プロテイン 30g×2回(朝と夕に1回ずつ)※規定量より1回あたり10g増量
  • キレート鉄 36mg×2錠(朝2錠)
  • ビタミンB 50コンプレックス×2錠(朝と夕に1錠ずつ)
  • ビタミンC 1,000mg×2錠(朝と夕に1錠ずつ)
  • ビタミンE-400×1錠(夕1錠)
  • ナイアシンアミド 1,000mg×3錠(朝1錠、夕2錠)

 タンパク質+糖質制限+鉄分を2週間ほど続けてから、ビタミンを加えるとよいでしょう。一度に全部を摂り始めると、体が受け付けず、体調不良を引き起こす場合があるからです。ずばり私がそうでした。初日は大丈夫でしたが、2日目から妙な吐き気と気分の悪さを感じました。一旦中断し、プロテインと鉄(+糖質制限)を2週間続けてからビタミンを開始したところ、体調不良は起こりませんでした。期間や摂取量については個人差があると思うので、自分の体調を様子見ながら進めましょう。

 ちなみに、プロテインを摂り始めた頃の血液検査の結果は「BUN-17」、「フェリチン-108」でした。「BUN-20」「フェリチン-150」を目指して継続したいと思います。

おわりに

 プロテインと鉄分を摂り始めて約1カ月。ビタミンを追加しておよそ3週間が経過しました。以前までは、週1,2日働けるかどうかといった状況、つまりほぼ寝たきりの状態が長期間続いていました。ところが最近では、少しずつ安定して働けるようになり、また漠然とした不安に駆られる頻度が減りました。心身ともに安定した傾向にあり、明るい未来を想像できるようになったのです。

 栄養不足を補うだけで、あらゆる不調を改善できるのであれば、誰もが希望を持てると思います。もしかすると一部の人にしか効果が見込めないかもしれませんし、場合によっては予期せぬ体調不良を引き起こすこともあるでしょう。しかし、辛い症状が少しでも改善されるのであれば、試す価値があると私は考えます。

 最後になりますが、この記事が同じ障害を抱える人にとって、希望になってくれたら嬉しく思います。

 

著:田埜マサキ